トレンドラインやチャンネルラインと合わせて、表示させたほうがいいのは移動平均線です。これは、設定期間内の終値の平均値を結んだ線のことで、マーケットのトレンドを判断する指標の一つなんですね。


移動平均線を使うと、値が上がるタイミングと下がるタイミングの位置を推測しやすくなります。でも、可能性の問題なので、必ずそうなるということではなく目安です。


チャートを見る人のほとんどは、移動平均線を重視しています。というのも、株価がこの線にぶつかると値が反発しやすいんですね。そこで、基本的な移動平均線の見方と使い方を書いてみます。


日経平均株価日足





移動平均線から判断できること

先ほど簡単にふれたとおり、移動平均線は設定期間内の終値の平均値を表しています。例えば、5日移動平均線を表示させた場合、現在の株価が移動平均線の下にあると5日間の間にその銘柄を購入した人の大部分が含み損を抱えていると推測できます。


これとは逆に、株価がその移動平均線の上にある場合、投資家の大部分が含み益を得ていると考えられますね。含み益が増えてきたら、当然利益を確定させようとする人が増加します。なので、売り注文は自然と増えることになります。


上昇トレンドがでているときでも、売りと買いの注文はあるので、株価は波を描くように、上がり下がりを繰り返しながら上昇します。


下降トレンドの場合でも同じことが言えます。どんどん株価が下がっているときに、ここが底値と考えるひともいるので、買い注文が入ります。すると、株価は若干上昇しますね。


このときそれまで損失が膨らんでいた投資家なら、すぐに売りたくなるはずです。仮にたくさんの投資家が「これはまずい」という気持ちになっていれば、大量の売り注文が発生するので下落トレンドは継続することになります。

ただこのときでも、株価の上昇と下落は繰り返されます。

移動平均線から推測を立てる練習

覚えてしまうと簡単ですが、チャートをみながら推測を立てる練習をしてみましょう。下の画像は東芝の日足チャートです。


このときの終値は314円です。画像右下の【チャート種類】を見ながら含み益の方が多いのかそれとも含み損の方が多いのか推測してみます。


  • 5日移動平均線では?
  • 20日移動平均線では?
  • 60日移動平均線では?
  • 100日移動平均線では?
  • 200日移動平均線では?

含み損と益を推測

回答を見てみます。

  • 5日移動平均線ではやや含み損の人が多い
  • 20日移動平均線では5日移動平均線とほぼ同じくらいやや含み損の人が多い
  • 60日移動平均線ではやや含み益の人が多い
  • 100日移動平均線では60日移動平均線よりは少ないが含み益の人が多い
  • 200日移動平均線では含み益の人が多い

こう推測できればOKです。

移動平均線を見るときのポイント1

移動平均線をみるときは、期間のことなる移動平均線を組み合わせてみることが大事です。「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」という言葉を聞いたことはないでしょうか。


画像の赤い丸で囲んだところを見て下さい。これは相場転換の重要なサインと言われています。


ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロス

ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜けたときのことをで、「上昇トレンド」に転換したサインになります。もちろん、100%ということではなく、あくまで確率です。


デッドクロス

また、デッドクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜けたときのことをいい、下降トレンドに転換した時のサインです。こちらも、その可能性が高くなると考えて下さい。


しかし、ゴールデンクロスやデッドクロスは出現する場所によって、意味が全く変わってきます。


例えば、上昇レンンドの下値付近でゴールデンクロスが出た場合、反発して上昇トレンドが継続する可能性は高くなります。


上昇トレンドの下値付近でゴールデンクロスが出た場合

上昇トレンドの下値付近でゴールデンクロスが出た場合続

また、下降トレンドが発生するのは、高値付近でデッドクロスが出現したときです。この場合、下降トレンドが継続する確率は高くなります。


高値付近でデッドクロスが出現し下降トレンドに転換

まずはトレンドラインを引いて、大きな流れをつかみ、ゴールデンクロスやデッドクロスがでていたらその後のトレンドの傾向を探ってみるといいと思います。


チャートをいくつも見てみましょう。「5日」と「20日」や「25日」の移動平均線は頻繁に交差するかと思います。この場合、信頼性が高いとは言えません。


でも、「60日」「75日」「100日」[200日」など設定期間の長い移動平均線は、短期移動平均線に比べて交差する頻度が少ない傾向にあります。この場合は、トレンド転換の信頼性は高いです。





移動平均線を見るときのポイント2

まずはこちらをご覧ください。株価が急落して、5日移動平均線から株価が大きく乖離していますね。このようにあまりにも乖離しすぎると株価は調整する傾向があります。


5日移動平均線から大きく乖離したケース

というのは、ちょっと考えてみるとすごくシンプルなことです。例えば、移動平均線を株価が大きく上回った場合、その銘柄に投資している投資家の含み益は増えているわけです。


株値はいつ下落に転じるのかわかりません。投資家が含み益を得ている場合、「とりあえず利益を確定させよう!」という心理が働くので、売り注文がおのずと増えるんです。


とのことから、大きく乖離した場合、いったん移動平均線の付近まで株価が戻ってくる確率は高いです。どのくらい乖離しているかを知るには、証券会社が用意している「移動平均乖離率」を使うといいと思います。


また、元の値に戻ろうとする株の習性を活かして、逆張りを仕掛けるという方法は昔から知られている手法です。値が戻って来て、移動平均線を割り込まない場合、再度同じトレードの方向に仕掛けることも考えられますね。

乖離率が大きくなったときの注意点

株価が移動平均線より大幅に乖離したときは、逆張りのチャンスにもなりますが、もちろん値が戻らないこともあります。そのまま上昇していくケースや逆に下落していくケースも少なくはありません。


これを回避する一つの方法として、同じ銘柄の過去のパターンを参考にするといいと思います。どのくらい乖離した場合なら、株価が移動平均線に近づいてくるのか見てみましょう。銘柄によってはパターン化しているものもあるはずです。


ただ、これはあくまで可能性になるので、値が戻らないことを想定した資金管理が必要です。株の投資で一番大切なのは、「徹底した資金管理」といっても過言ではないはずです。

移動平均線を見るときのポイント3

よく使われている移動平均線は「5日」「25日」「50日」「60日」「75日」「100日」「200日」「300日」などです。


設定期間が短い移動平均線の場合、短期の動向を推測するのに向いていますし、設定期間が長くなるほど、長期を推測するのに適していると思います。


5日移動平均線が200日移動平均線を下から突き抜ける

5日移動平均線が200日移動平均線を下から突き抜ける

移動平均線を設定するときのポイントは、チャートに合致しているかどうかです。仮に移動平均線付近で株価が反発していたり、レンジが形成されていない場合、移動平均線の設定期間を調整してみるといいと思います。


また、株価が下落トレンドを形成していて、長期の移動平均線にぶつかり下げ止まった場合、その株価を底値と考える投資家が多いと推測できますね。


それから、ボラティリティの大きな銘柄になると長期の移動平均線は有効に機能する確率が高くなります。なので、移動平均線が交差しているときや長期の移動平均線にぶつかったときなどは、特に注意が必要です。


最後に

今回紹介したのは、基本中の基本のほんの一部です。もし、もっと詳しくチャートの見方を学びたい場合、「渋谷高雄株式投資大百科」がいいと思います。これを読むとほとんどのノウハウがわかります。


株で利益をしっかり出している人は、基本をきちんと勉強しているんですね。だからこそ、トータルで資産を増やしています。渋谷さんが株の投資で得た資産は、渋谷高雄公式サイトの技心研に掲載されているので確認できます。


渋谷高雄株式投資大百科は、株投資の基本になる知識から資金管理の方法まで詳しく解説されています。ボリュームのある教材なので、内容を把握するまで時間がかかるかもしれません。


でも、初めて株の投資を始める場合、学ぶことがすごく多いと思います。もちろん、絶対に負けない投資法はないですが、勉強しておくと役に立つはずです。

私の場合、散々大失敗をくりかえしてしまったので、もっと早くこれを読んでおけばよかったと思っています。(;_;)


あれもこれもとやっているうちに、結局、情報に翻弄されていたんです。なので、一つのことに集中したほうがいいと思います。


渋谷高雄株式投資大百科に書かれていることは、ほとんど基本的なことですが重要な部分です。長期的に株投資を考えている方の参考になるはずです。