三菱マテリアルの子会社、三菱伸銅、三菱電線工業、三菱アルミウムでデータ改ざんが発覚し問題になっていますね。長いこと不正がされていたということで芋づる式にデータ改ざんを指南する書類が見つかっています。


三菱マテリアル社長の謝罪会見

出典元:https://toyokeizai.net

2017年12月末、三菱マテリアルのデータ改ざん問題について同社の竹内章社長は「コンプライアンスに対する意識の薄さが最大の原因」だったとして会見で謝罪。データ改ざんについては、遅くとも1990年代からあったことを明らかにしています。


三菱伸銅、三菱電線工業、三菱アルミニウムでは仕様書どおりの製品を製造できるか否かという点よりもシェアの拡大を優先していたとのことで、今後の株価に影響が出てくることが予測されます。






三菱マテリアル(5711)

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【リアルチャート】


データ改ざんが発覚するまでの経緯

同グループのデータ改ざんは、改ざんデータ用のリストなどが作成されていることから、グループぐるみで行われていたと思われます。今回のデータ改ざん発覚により、不適合製品の確認がされているのは限定された期間です。

三菱電線の不正発覚まで

2015年4月1日~2017年9月30日に箕島製作所(和歌山県有田市)は製造したパッキン2億7千万個が不適合にもかかわらず229社へ出荷。パッキンは主にゴム素材でつくられた水や油、空気漏れなどを防ぐシール材です。

  • 2016年12月 三菱マテリアルが同社の監査をおこなう
  • 2017年 2月 不適切な行為を把握
  • 2017年10月23日 不適合品の出荷を停止

三菱伸銅の不正発覚まで

2016年10月18日~2017年10月17日に若松製作所(福島県会津若松市)は自動車に使われる銅製品などの強度といった性能データ(879トン)を偽装し、29社に出荷。

  • 2017年10月16日 三菱マテリアルが監査中、不適切な行為判明
  • 2017年10月18日 不適合品の出荷を停止

三菱マテリアルが不正を確認してから発表まで

  • 2017年11月 8日 三菱マテリアルは2017年中間決算報告を行う(データ改ざんについては触れていない
  • 2017年11月23日 子会社の三菱電線工業と三菱伸銅が検査記録データを改ざんして規格外の製品を出荷したことを発表
  • 2017年11月24日 子会社のデータ改ざんについて緊急記者会見を開く
  • 最終報告は2018年2月末に行われる予定

三菱電線から不適合が出荷された可能性のある会社

最終需要分野出荷先の件数確認済みの件数
航空・宇宙
70社
26社
各種産業機器(空気圧等)
25社
4社
電力機器
12社
7社
自動車
7社
2社
その他
115社
1社

【不適合品が確認された製品】

  • シール材、パッキン

【確認対象期間における出荷数量】

数量個数
シール材の全出荷数量
約13.3億個
不適合の可能性がある数量
約2.7億個

三菱伸銅から不適合が出荷された可能性のある会社

項目社数
不適合品を出荷した可能性のある会社数
29社
確認済みの会社数
14社

【不適合品が確認された製品】

車載部品向け黄銅条製品および電子・電気機器分野、工業用分野向けの銅条製品

項目トン
出荷期間における出荷数量
143,435t
不適合の可能性のある数量
879t

三菱マテリアルのデータ改ざんは悪質

報告書によると、三菱電線の箕島製作所(和歌山県)には「シルバーリスト」と呼ばれるリストが存在。不適合品の場合は、合格品として扱われることができるように数値が書き換えられており、検査グループの従業員は閲覧が可能でした。


1996年くらいから、リストに追加される製品の数が増えてきていて、2013年ごろには当時の社長も改ざんの可能性について認識していたと思われます。


三菱伸銅・若松製作所(福島県)には、製品が規格に適合しないことが確認された場合、独自に合否判定を定める「需要家別検査ポイント表」が存在し、検査記録のデータを日常的に書き換えていたことが判明。


このポイント表は1999年5月20日の時点にはすでに存在していました。さらに2001年7月の改訂版では、規格に適合しない場合、検査記録のデータを書き換えて合格品とすることが定められていたことも明らかになっています。


今回の三菱マテリアルの不正発表は、神戸製鋼所、東レ子会社の品質データ改ざん発覚の影響を受けていると思われ、外部告発される前に対応すべきとの判断からの発表だったとみられます。


三菱アルミニウムでもデータ改ざん発覚

三菱電線と三菱伸銅のデータ改ざん発表(12月28日)後、なんと三菱アルミニウムでもデータ改ざんを指南する書類が確認されました。


2017年11月、三菱アルミニウムの社内調査で、富士製作所(静岡県裾野市)が生産していたアルミ板の品質データを改ざんして、出荷していたことが判明。


この際、製品の規格が合格水準に達していなくても、顧客の了解なしに出荷できることを認める内容が記載された書類も見つかり、内部告発へと発展した模様です。


三菱アルミニウムでは2013年11月から2016年11月にかけてアルミ板で改ざんが行われており、製品を出荷したのは16社です。このため、国際標準化機構(ISO)の認証が一時停止され、再発防止対策が十分かどうかとゆう点で社内監査が行なわれています。


三菱マテリアルによるとすでに対応が済んでおり、問題は解決しているとして、詳しい説明はいまのところ予定されていません。


世界に誇る工業技術が揺らいでいる

日本の工業製品が世界的にもっとも高い評価を得ていて、事実、品質に優れているのは、品質管理が徹底しているからです。ところが、製品の出来が良くない場合、基準を品質に合わせるということが起こっています。


シェアを拡大するためとはいえ、質が伴わなければ本末転倒ということになります。三菱マテリアルの取引先は5600社以上。日本製品が国内だけでなく海外でも信頼されているのは、偽りのない製品を供給してきたからです。


しかし、それが根底から崩れた場合、せっかく培ってきたものを一瞬で失うことも考えられます。日本を代表する企業の一つだからこそ尚のこと、そのあり方をもう一度見直して欲しいと願うばかりです。