株の勉強を始めたばかりの場合、ラインの引き方で戸惑うことも多いのではないでしょうか。株チャートの勉強動画を見ていると、すごく簡単に線を引いています。


でも不思議なことに、人によってラインの引き方がまちまちなんですね。というのも、これには決まりがないんです。


では、「どうすればいいの?」ってことになると思います。そこでラインの基本的な引き方を書いてみます。


株の教科書

株式投資で100%勝てる方法は残念ながら存在しません。ただし、負けることはあっても、資金管理さえしっかりできれば、利益を出せるはずです。とは言っても、一番むずかしいのはきっとこれですね。


株価は同じような動きを何度も繰り返す習性をもっています。なので、過去問を繰り返して解くようにチャートに慣れる練習をするといいと思います。


そこで大切なのは、株式投資の基本中の基本をしっかり学ぶことです。トレンドラインや移動平均線、出来高、ローソク足など、チャートを見るための基礎は必要ですね。


基本的な知識とポイントを知っているだけでも、チャートの見方は変わってきます。ではさっそく、どんなことに気を付けてラインを引けばいいのか見てみましょう。






日経平均株価をみる癖をつける

まずはトレードをはじめる前に、日経平均株価の動きを確認する習慣をつけるといいです。日経225種の銘柄のほとんどは日経平均に連動した動きをしています。


もちろん大事件や不祥事などを起こしたり、今世紀始まって以来の開発など、ビックニュースが出た場合、予測に反した動きをする銘柄もあります。


しかし、日経平均が上昇気流にのっているのか、あるいは下降気流になっているのかわかると、個別銘柄の動きも推測しやすいです。とはいってもあくまでも可能性になるので、もちろん外れることもしばしばあります。

銘柄を選ぶときのポイント

ラインを引く前に、まずはどんな銘柄を選べばいいのか気になりませんか。


安全性の高い銘柄は、日経平均株価(225種)とJPX日経インデックス400のどちらにも採用されている企業です。それと一日の出来高が、最低購入数1000株の場合なら100万株以上ある銘柄がいいと思います。


というのは、株は倒産してしまうと紙切れになってしまいます。また、ある程度の出来高がないと、買いたい時に買えず、売りたい時に売れないということになります。


マザーズやJQSの市場では、大化けする株(テンバガー)が登場することも度々ありますね。しかし、大暴落を起こして、株の価値がなくなることも多いです。


また、たくさんの銘柄を一度に選ぶのではなく、売買する銘柄を特定したほうがいいのではないかと思います。


なぜかといえば、株価の動きがパターン化されていることがあるんですね。もちろんすべての銘柄に当てはまるわけではないですが、銘柄によっては同じスタイルをくり返すものもあります。チャートをいつも見ていると、その動きになれてきます。


それと、日経平均に大きな影響を与えるのは、「NYダウ・ナスダックと為替の相場」なので、ドル円の相場の流れとNYダウ・ナスダックの動向をよくみていると日経平均株価の動きも見えてくるはずです。


また、デイトレードを得意とする場合でも、長い時間足を使うといいと思います。というのは、短い時間足で予測するより、日足、週足、月足のほうが傾向をつかみやすいからです。


株は上昇気流にのっているときでも、高値と安値を繰り返しています。なので、使う時間足が短いと判断を間違える可能性が高いです。


また、上昇トレンドの場合でも上り下がりをくり返しているので、一見下がってきていても、トレンドが継続していることもあります。


短期トレンドになるほど、トレンド転換を判断するのが難しくなります。そこで使われるのはトレンドラインです。このラインがうまく引けるようになれれば、トレンドの転換ポイントがわかるはずです。

では、ラインの引き方を見てみましょう。


トレンドラインとは

相場がどのように流れているかをみるには、トレンドラインを使うといいです。線を引くだけで、トレンドの傾向がはっきりわかります。


例えば、右肩上がりのチャートの場合、複数の下値を線で結んでいくと上昇トレンドラインが引けます。線を延長してみて、その線より株値が下回った場合、下降トレンドに転じた可能性が考えられます。


だだし、線の引き方によって判断がかわってきますね。画像は窓を開けて値段が下がっていますが、上昇トレンドは終わっていません。


右肩上がりのトレンドライン

右肩下がりのチャートの場合は、逆に高値をつけているポイントを線で結んで下さい。これが下降トレンドラインになるので、もしこの上を突き抜けて上昇してきたら、トレンドが転換した可能性が高いです。


右肩下がりのトレンドライン

株は上昇と下降をくり返してトレンドを形成していきます。トレンドラインと同時にチャンネルラインを引いてみるとトレンドの転換時期がもっとわかりやすくなります。


チャンネルラインとは

チャンネルラインはトレンドラインと並行になるようにひくラインです。先ほど、上昇トレンドにトレンドラインをひきましたね。今度は高値のポイントを複数選んで、トレンドラインと並行になるように線を引いてみます。


ソニー上昇トレンドとチャンネルライン

株価は上がったり、下がったりをくり返していますから、チャンネルラインをひくとレンジ(値幅)が見えてきます。


また、上昇トレンドでも下降トレンドでも、レンジ内で上昇と下降をくり返している場合、そのトレンドが続いている可能性が高いです。


チャンネルラインをひくと、上昇トレンドで下値に近づいた時は、反発して値を戻してくる可能性がありますし、逆に下降トレンドの場合は、レンジの高値近くになると値が下がってくる可能性があります。


押し目買いと戻り売りのチャンスはこの2つのラインで判断されることが多いです。またトレンドラインとチャンネルラインは、どこで利益を確定したらいいのかその目安にもなります。


それから重要なのは、レンジの外に値が動いたときです。これまでの動きに変化が現れたのですから、トレンド転換のサインとみることもできるはずです。


ソニー下降トレンドとチャンネルライン

トレンドラインをブレイクして相場が動いた場合、値は抜けた方向に加速をつけて動く傾向が強くなります。これは上昇トレンドのときも下降トレンドのときもおなじです。


また、トレンドの継続期間が長いほど、それに反発したときの動きは大きくなることが多いです。


トレンドラインとチャンネルラインを引くときの注意点

トレンドラインもチャンネルラインも、どのようにでも引けてしまいます。なので、役に立つラインが引けるようになるまで練習が大切になってきます。


その方法はいろいろありますが、簡単にできるやり方をご紹介しますね。Pan Rolling社のチャートギャラリーを使って下さい。


基本、無料で使えるので練習するには便利です。こちらは機能に制限が設けられていますが、日本株全銘柄のチャートを無期限で利用できます。


まずは日経平均株価のチャートを印刷して、線が引けそうなところに実際に線を引いてみるといいと思います。


何度も繰り返して線を引いていると、機能する線が自然に引けるようになってくるはずです。しかし、使うチャートの期間が短いと、トレンドが見えないこともしばしばあります。


もし迷ってしまった場合、もっと期間の長いチャートを利用して下さい。期間が長くなるほど、トレンドの信頼性は高くなります。短期トレードをしていても、期間の長いチャートをみることで、トレンド転換の判断がしやすくなります。


また、日足で引けるトレンドラインを大きくブレイクするチャンスは、個別銘柄によってまちまちですが、年に2~3度くらいはあるはずです。


何度も繰り返して練習していると、おおきくブレイクするタイミングが見えてくると思います。


トレンドラインとチャンネルラインをつかった押し目買いと戻し売りの判断

レンジ内でなら、押し目買いや戻し売りのチャンスもありますね。しかし、予想と逆方向に株価が動くこともあります。


押し目買いができそうなときでも、確認のために「サポート(支持線)」と「レジスタンス(抵抗線)」を見てみましょう。


トレンドラインとチャンネルラインは斜めに引く線ですが、サポートとレジスタンは真横に引く線です。安値と安値を結び付けたラインをサポート、高値と高値を結んだラインをレジスタンと呼びます。


レジスタンスとサポート

短期トレードの場合、わかりにくいことが多いですが、長期トレードになるとサポートとレジスタンから見えてくることがあります。こちらをご覧ください。黄色のまるのところは、押し目買いのチャンスにもみえます。

押し目買いのチャンス

ところが結果はこうです。


押し目買いで失敗したケース

このチャートをもっと期間を長くして見てみましょう。


レジスタンスにぶつかる。

株価が上がってきているときでも、レジスタン付近では利益を確定させる投資家が多いため、このライン付近に株価があるときは、トレンド変換がおこる可能性が高いです。


レジスタンスが形成されるのは、「戻り待ち売り」と呼ばれる大量の売り注文が出てくるからです。出来高が多いときの価格帯から価格が一段下落した場合、下落前の価格帯で株を購入した人達の含み損は増えますね。


このとき、少しでも値段が戻ってくれば、利益なしでも少しくらい損をしていても、これ以上の損を出さないために「売り抜けよう」という大衆心理が働くので、大量の売り注文がでます。


戻り待ち売りが長く続くと、上値が重い(株価が上がらない)状態になり、これがレジスタンスになります。


なので、押し目買いのチャンスもしくは戻り売りのチャンスと考えた場合、そこがサポートやレジスタンになっていないか見極めることが重要です。


また、株価が下がってきても、サポートライン付近で買い注文が増える傾向にあります。なのでこの付近では、値が反発する可能性が高くなります。


それとレジスタンスを抜けて、さらに株価が上昇した場合、レジスタンスはサポートに変わるので、このラインはトレンド転換の目安にもなりますね。また、長いレジスタンス後にブレイクした場合、株価が高騰する可能性は高いといえます。


サポートも同じように働きます。サポートを抜けて株価が下がった場合、さらに下落が続く可能性が高いです。ということから、サポートやレジスタンはトレンドラインやチャンネルラインと同じように売買タイミングの指標になるんですね。


最後に

もっと詳しく株式投資を真剣に学びたいときには「渋谷高雄株式投資大百科」をおすすめします。株投資の基本中の基本が網羅されているので役に立ちます。


かなりボリュームのあるマニュアルですが、内容が難しいわけではありません。これ一冊あるだけで、銘柄選びの詳しいポイントやチャートの使い方など、基本的な知識を身に付けることができます。