株の値段が前の日に比べて明らかにことなることがあります。でも、どうやってその日の株価が決まるのかなっと思いませんか。


これには決まりがあり、その方法に従って始値などが決定されます。そこで、どのような仕組みで株式の価格がきまるのか書いてみます。


株式投資


株式投資って一体何だろう?

株とは、企業が事業を育てるために必要とする資金を外部から調達する目的で発行しているものです。会社は集めた資金を使って事業を成長させることができますね。


株券を購入した会社が成長した場合、株の価値も上がるので投資した人の利益も増えます。つまり、株式投資とは、将来性のある企業にお金を投資して資産を増やす方法になります。


株取引を始める前に

株を購入するには、証券口座を開設しなくてはなりませんね。その場所になるのは証券取引所ですが、一般的には証券会社が窓口です。なので、株取引をはじめる場合、まずは証券会社に口座を開設します。


証券会社には、オンラインで営業しているネット証券と店舗を構えて営業している店舗証券があります。店舗を持たないネット証券のほうが、低コストで営業できるため売買手数料など安いです。


一口に証券会社といっても、サービスの内容が違います。それとネット証券の場合、株の売買にはツールを使います。各証券会社で独自の売買ツールを提供しているので、使いやすいものとそうではないものがあるはずです。


なので証券会社を選ぶ際は、いくつかの会社を比較してから決めたほうがいいと思います。


詳しい情報は、それぞれの証券会社を比較した記事があるので、そちらを参考にして下さい。取り敢えず口座を開いたことにして、取引きの仕方を見てみます。


株取引の種類

株の取引には現物取引と信用取引があります。現物取引とは、保有している資金内で株を売買する取引きのことです。


これに対して信用取引は、持っている資金以上の金額をつかえる取引きになります。どちらの取引きをするとしても一通りの流れは、このとおりです。

  1. 証券会社で口座を開設する
  2. 口座にお金を入金する
  3. 買いたい銘柄を探す
  4. 株を買う
  5. 利益・損益に応じて株を売る
  6. 口座残高が増えた場合、銀行口座と同じように出金する。

銀行に貯金しておくのと比べると、資産を増やすことも期待できますね。でも、株価は下落することもあるのでリスクは貯金より高いといえます。


では、現物取引から取引の方法を説明しますね。現物取引の場合、かならず買いの注文からポジションを取らなければなりません。また、株を保有する期間には期限がないので、銘柄がなくならない限りもっていることができます。


信用取引の場合、買い注文をだすことも売り注文をだすことも可能です。株を事前に保有していなくても、売ることができるんですね。また、実際の資金額の3倍くらいまで売買できます。


でも、ギリギリいっぱいに注文するのは、やめた方が無難です。というのは予測が大きくはずれた場合、証拠金が維持できなくなり、追証がかかることもあるからです。


それと、信用取引の株式保有期間は通常6ヶ月です。なので、期間内に手仕舞う必要があります。





約定って一体何なの?

株取引をしていると、約定(やくじょう)という言葉が頻繁に出て来ます。普段は聞きなれない言葉ですよね。約定とは、取引きが成立することを指します。


株取引きは、買主もしくは売主がいないと成立しません。売る人と買う人の条件が合致すると、取引が成立します。これを約定といいます。


売買が成立する仕組み

株取引は、需要と供給の関係で成り立っています。約定させるためには、希望の条件に合う条件が必要ですよね。なので、売買が成立する仕組みを具体的に見てみましょう。


これには2つの種類があります。一つは「板寄せ」といい、もうひとつは「ザラバ」といいます。

板寄せの仕組み

板寄せとは、始値を決める方法のことです。午前中に初めて取引がされるときと午後に取引きが開始されるときの値段は板寄せで決まります。


取引所が開いているのは、午前9時から午前11時30分の間と午後12時から午後3時の間です。そのほかの時間になると注文の受付はしてくれますが、売買は行われません。


ただ取引きがされていない時間帯でも、いろいろな値段の売り注文と買い注文が出ているんですね。これを成立させるために板寄せ売買をしています。


板寄せにはルールがあり、売買の成立には3つの条件が必要です。

  • 条件1は、成行の売り注文と買い注文のすべてを約定すること
  • 条件2は、約定値段より低い売り注文と約定値段より高い買い注文の全部を約定すること
  • 条件3は、約定値段で売り注文か買い注文のどちらか一方の全部を約定すること

「成行」という言葉がでてきたので簡単に説明します。成行とはそのときに約定する値段で注文することです。


例えば買いの注文を出した場合、そのときに一番安く売ってくれる人と売買が成立します。またこれとは逆に、売り注文をした場合、そのときに一番高く買ってくれる人と売買が成立します。


では、株取引の仕組みに話を戻します。こちらの説明はすこし分かりにくいので画像を見ながら細かく見てみましょう。


寄り付き前の板状況のケース

この表は売買開始前の板状況の例ですが、ここから始値が予測できます。


売り注文の累計数量と買い注文の累計数量を比べると値段が1000円のところでは、売りの累計が3100あるのに対し、買いの累計は2700ですね。ということは、売りの注文が買いの注文より多い状態です。


ところが価格が900円まで下がると、今度は売りの累計は1900になり、買いの累計は4200に増えています。つまり、売りの注文の方が買いの注文より少ないですね。


累計数が逆転したということは、どこかの時点で需要と供給が交差したことになります。なので、このように注文量が逆転した値段のところが、全体の注文で一番バランスがとれた価格といえます。


とのことから、始値の約定価格は900円か1000円と推測できますね。

板寄せの条件その1

板寄せ条件の1は「成行の売り注文と買い注文のすべてを約定する」ことでしたね。上の図からいくと、成行きの買い数量は500、売り数量は1000になっています。これを約定させると、成行の買い注文はなくなり、成行の売り注文500が残ります。


板寄せの条件その1

板寄せの条件その2

次にするのは、「約定値段より低い売り注文と約定値段より高い買い注文の全部を約定する」でしたね。始めに売りの成行500を約定させた後、約定値段より低い売り注文と約定値段より高い買い注文を約定させます。


ここでは売り成行500と指値の買い200から順番に約定させます。


板寄せの条件2

板寄せの条件その3

最後は「約定値段で売り注文か買い注文のどちらか一方の全部を約定する」ですね。現在、値段が1000円のところで、買いの数量が800、売りの数量が1200になっています。買いと売りをそれぞれ800づつ約定させた場合、売り注文に400が残ります。


板寄せの条件その3

これで始値が1000円になることがわかりました。始値が確定した後の板状況は1000円で売りたい注文が400に対し900円で買いたい注文は1500になりますね。

ちなみに、日々の寄り付きの時の価格は始値(はじめね)になります。初値は株式が上場した時に最初に約定した値段のことで1回だけです。でも、板寄せの条件はどちらもおなじです。

サラバの仕組み

今度はザラバについて見てみましょう。そもそも「ザラ場」というのは株が売買される時間帯のことで、その中でも寄り付きと引けをのぞいた時間帯のことを指します。


「寄り付き」と「引け」という言葉が出てきたので、ざっくばらんに説明しますね。取引所では午前中と午後に分かれて取引きがされています。


午前中の取引きは前場(ぜんば)と呼び、午後の取引は後場(ごば)と呼びます。「寄り付き」とは、前場と後場の最初の取引きのことになり、「引け」とは最終取引のことです。


ザラバでは、すでに注文されている売りの注文または買いの注文の値段と、新しく注文された売りの注文または買いの注文の値段が合致した場合、売買が成立する仕組みになっています。


先ほどの表を使ってもう少し具体的に見てみましょう。1000円で400の売り注文と900円で1500の買い注文が出ていますね。 


ザラ場の約定

もしも成行で100の買い注文を出した場合、売り値が1000円で約定することになります。でも、成行で500の買い注文をだすと、400は1000円で約定しますが、残りの100は1100円で約定することになります。


ザラバでは、その値段に対する注文の数量が約定すると価格が変わります。


決めた値段で売買したい場合

仮に、売買する値段を決めていたときは、指値で注文します。これなら成り行き注文のように、注文したときの値段と約定したときの値段が違うということにはなりません。

成行と指値注文

成り行き注文のメリットとデメリット

終値と翌日の始値が大きく違うことがありますね。例えば、その日の終値1000円で、寄り付き前に成り行きで売りの注文をしたとします。


仮に翌日の始値が1200円だとすると、1000円で売ってもいいよという注文でも、1200円で約定することになります。これとは逆に始値が800円の場合、成り行きで注文していると1000円で売る予定でも800円で約定します。


株価が決まる時のルール

株取引きには、価格優先の原則と時間優先の原則があります。さっそく、どんな原則なのか具体的にみてみましょう。


価格優先の原則とは買いの注文でも売りの注文でも、買い手、売り手に一番有利になる条件で取引きが成立することです。


例えば、1200円で買いの注文を出したとしますね。ところがこの金額より安い値段で売りを出している人がいる場合、1200円より安い1000円で約定します。


逆に売りの注文をだした場合も買いの注文と同じように約定します。つまり、「1000円で売ってもいいよ!」という場合でもこの値段より高く買ってくれる人がいるときは、1000円より高い値段で約定することになります。


時間優先の原則というのは、同じ値段で注文されたとしますね。この場合、優先されるのは取引所が注文を受けた時間の早い方になるという原則です。ただし、ほとんど同じ時間に受けた注文になると、時間優先の原則は適用されません。

同時注文になるケース

他にも同時注文になるケースがいくつかあるので見てみましょう。

  • 始値が決定する前に受けた注文
  • ストップ高とストップ安での注文
  • 売買が停止して、ふたたび再開したとき最初の値段が決まるまでの間に受け付けた注文

このケースの場合は同時注文になるので、「時間優先されてない!?」とはなりません。


特別気配ってどんなこと

特別気配は株価が急に上がったり、下がったりするときに表示されるものです。通常、値幅の間隔は1円きざみとか10円刻みというように銘柄によってことなりますが、徐々に変化しますね。


ところが、直前の約定値段が1000円で、そこに1300円の買い注文が大量に入った場合、値段は急激に高騰してしまいます。売り注文の場合でも買い注文の場合でも、大きな変化が起こるサインの意味で特別気配が表示されます。


「現在の値段より高い注文があるので、売りの注文を出してくれませんか!」と売りを呼んでも売り注文が入ってこない場合、3分間隔で特別気配を引き上げて、売りたい人と買いたい人の売買が成立するように値段を近づけていきます。


高い値段で売買が成立するときは板情報の買い注文の値段に「S(特別気配)」、安い値段で成立するときは売り注文の値段に「S(特別気配)」と表示されるので気を付けて見ているといいと思います。

「ストップ高」や「ストップ安」はどうして起こるの?

株価には値幅制限があります。前日の終値に基づいて一日に変動する値段は限定されているんです。図のように、株価によって変動する値段の幅は決められています。


制限値幅

例えば、前日の終値が600円の銘柄の場合、500円まで下がると「ストップ安」に、700円まで上がると「ストップ高」になるんですね。


通常、板寄せで終値は決まります。でも、売り注文でも買い注文でも一方に大量の成行注文が入った場合は「成行注文を全て約定させる」という条件を満たさなくても売買を成立させていきます。


これは「比例配分(ストップ配分ともいう)」という方法で、急激な変動を防ぐことになります。


最後に

株式投資をする場合、まずは勉強から始めるといいと思います。そこで、おすすめしたいのが渋谷高雄株式大百科です。


失敗しないヒントが網羅された教材なので、役に立つはずです。基本から学びたい方には良い教科書になると思います。