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株初心者の勉強会|月足チャートから見えてくる業種別の傾向とは

同じ業種でも銘柄同士で似たような値動きをするセクターもあれば、これとは逆に全くバラバラの値動きをするセクターもあります。また、日経平均株価が上昇している場合でも、反対に下落していく可能性の高いセクターもあります。


あくまで傾向になりますが、業種別に大まかな株価の流れを覚えておくと、銘柄選びの役に立つと思います。そこで、各業種の固有銘柄を比較して、それぞれのセクターがどのような値動きをしているのか書いてみます。





金融セクターの動向

メガバンクを中心としたセクターになり、国内の景気に左右される傾向が強いです。TOPIX 株価指数への影響が大きい銘柄群としても知られていて、金利の動向に敏感です。

メガバンク

流動性が高く、時価総額が大きいという特徴があります。メガバンクは内需株に影響を与える傾向が強く、TOPIX 株価指数と連動性が高いです。


また国際決済銀行が定めるBIS規制に変更がでた場合、注意が必要になります。


地方銀行

中小型の株が多いためメガバンクより流動性が高いです。時価総額の大きい地方銀行の場合、連動した動きが見られます。


ノンバンク

ノンバンクは消費者金融、クレジット会社、信販会社などです。固有銘柄は、独自の動きをすることが多く、他の業種や株価指数との連動性は見られません。


保険

保険関連の銘柄は国内外の金融資産で資産を運用しているため、不良資産を多く抱える可能性が高くなります。このことから、特別損失を計上する場合もあるので注意が必要です。


また、保険会社の健全性を示す指標にベンシー・マージン比率があり、これが急激に低くなると、増資する可能性が高くなります。それから、大手の損害保険銘柄は連動する傾向にあります。


大手不動産

他のセクターに比べて時価総額が大きい分、他の国内需要銘柄への影響が大きいです。新設住宅着工戸数やマンション発売戸数など、住宅関連指標の影響を受けます。


また、TOPIX 株価指数との連動性が高い傾向にあります。


新興不動産

大手不動産に比べて中小型株が多いので、流動性が高くリスク型です。大手との違いは財務的に不安定な銘柄が多いことです。また、TOPIX東証株価指数に連動した動きが見られます。




資源セクターの動向

鉄鋼・石油・金属などの資源を加工したり、取引をおこなう銘柄のセクターです。海外の景気や外国株の動きに左右されます。また、日経平均株価への影響が大きい銘柄が集まっています。

石油関連

原油価格の影響をつよく受ける銘柄です。大手石油会社は連動した動きをする傾向にあります。また原油価格の変動は外国の石油株にも影響を与えるので、海外の石油株と連動した動きになります。ただし、為替相場の影響もありますから、常に連動するとは限りません。


非鉄金属

鉄・銅・ニッケル・亜鉛・金などの影響を受けます。また、大手銘柄は連動する傾向にあります。


総合商社

原油や金属の価格はもとより、中国、インドなど資源消費の多い新興国の影響を受けます。また、大手商社間では、動きに連動性が見られます。


鉄鋼

海外の同業銘柄と連動した動きをすることが多く中国やインドなど消費の多い新興国の影響を受けます。また、鉄やニッケルの価格と連動しています。大手のメーカー間では同じような動きになります。


建設機械

中東や中国の影響をうけ、海外の同業種銘柄と連動した動きになります。また大手建設メーカーの場合は動きが似ています。


海運

特に中国と北米の影響を受ける傾向にあり、海外の同業種と値動きが連動しています。また、大手銘柄間では特に動きが似ていることも特徴です。バルチック海運指数(DBI)とも、ある程度の関連性があります。


バルチック海運指数は聞きなれない指数かも知れませんね。BDIとは、アンケート調査から得た運賃を指数にしたものです。海運会社は穀物・石炭・鉄鉱石といった乾貨物を運搬しています。


これには不定期船もあり、この運賃は定期船の運賃とは異なるんですね。あくまで推測した運賃で実際の値段というわけではありませんが、目安にはなります。




輸出セクターの動向

自動車や電気機器など輸出から主な利益を上げている銘柄群です。そのため海外の経済事情や為替相場の影響を強く受ける傾向にあります。


円安の場合はメリットがありますが、円高になるとデメリットになります。また、日経平均株価指数に大きく影響を及ぼす銘柄が集まっています。

半導体

メモリ価格や半導体関連の指数、NASDAQ市場の影響を受けます。また同業種の海外銘柄と連動した傾向にあり、値嵩株が多くみられる銘柄がそろっているため日経平均株価指数への影響は大きいです。


メモリ価格が上昇して円安の場合、株価が上昇する可能性は高くなりますが、これとは逆にメモリ価格が下降して円高の場合は、株価が下落する可能性が高くなります。


半導体関連の主な収益は海外での売れ行きになるので、為替相場の影響を強く受けます。そのため、メモリ価格と為替相場をセットにして推測するといいと思います。それから、NASDAQ市場にも左右されることがしばしばあります。


また、国内の半導体メーカーは、アメリカの主要半導体メーカーの株価から算出されるフィラデルフィア半導体(SOX)指数と連動しています。



電子

電子関連銘柄も値嵩株が多く、海外の同業種と同じような動きをします。また、欧米、中国の影響を受けるので、為替相場にも大きく左右されます。


電気

欧米、中国の影響を受ける傾向にあり、海外の同業種の銘柄と連動した動きをします。また、大手銘柄間での動きもよく似ています。電子と同じように為替相場の影響を大きく受けます。


自動車

特に欧米、欧州の自動車販売台数と連動した動きがみられます。ただし、スズキの場合はインド国内の売れ行きが大きく影響します。


また、大手自動車メーカーは連動して動く傾向にあります。




素材セクターの動向

化学、繊維、紙製品などを販売している企業のセクターです。材料を海外から輸入してくるため、円高のときはメリットがあり、円安になるとデメリットがあります。


為替の相場から受ける影響は、輸出セクターが受ける影響とは逆になるので注意して下さい。

化学

国内外の景気とナフサ価格の影響を受けます。ナフサとは原油を分留して得られる軽質油のことで、石油化学製品の原料になるものです。


海外銘柄との連動性は少なからずあります。また国内大手銘柄の場合、中堅銘柄より高い確率でナフサに連動します。


繊維

繊維も国内外の景気とナフサ価格の影響を受けます。また大手メーカーでは若干の連動性が見られます。


製紙

製紙も国内外の景気と石油価格の影響を受けます。大手製紙メーカーでも繊維大手メーカーと同じように連動して動く傾向にあります。



カーボンとチタニウム

国内外の景気はもとより、カーボンやチタニウムなどは主に航空機用で使用されるため、海外の航空機製造メーカーの動向に左右されます。


またカーボンとチタニウムを扱う素材メーカーは、連動した動きをする傾向にあります。







設備セクターの動向

国内のビル、工場、インフラなどに必要な建設資材や設備用品を提供する銘柄です。国内経済指標と国内外の景気に影響されます。また大手の場合、連動する傾向にあります。

重工業

国内経済指標と国内外の景気に左右されます。また、原子力関連の銘柄も一部含まれており、大手の銘柄間では連動する傾向にあります。


電気機器

国内経済指標と国内外の景気の動向に左右されます。重工と同じように原子力関連の銘柄も含まれ、大手企業間では連動する傾向にあります。


建設

国内外の景気と不動産市場の影響を受けます。ゼネコンとハウスメーカーに銘柄を分けると、ゼネコン銘柄間、ハウスメーカー銘柄間では連動する傾向にあります。




ヘルスケアセクターの動向

医薬品や美容品、日用品の銘柄になります。比較的に利益率が高い企業が多く集まっているので、景気が悪いときに投資資金が流れる傾向にあります。

大手薬品

全体的に時価総額が大きく、流動性が高いのが特徴です。各銘柄が保有している特許有効期間が切れた時と新薬が開発された場合、価格が大きく変動することがあります。


また、薬の価格が改訂されると株価がマイナスに動く傾向にあるので注意が必要です。大手薬品銘柄には値嵩株が多いので、日経平均株価に与える影響も高くなります。ただし、時価総額が大きい銘柄ほど連動性は低いです。



また、例えば武田薬品工業のように輸出の多い銘柄の場合、海外医薬品銘柄と連動した動きをします。



ジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に販売される医薬品です。中型や小型株の銘柄が多いためボラティリティが高くなります。


また薬の価格が改訂されると、株価が上昇するケースが多く、銘柄間では、やや連動する傾向にあります。

日用品

他のセクターの相場が下落気味なときに、資金が流れるディフェンシブ銘柄です。銘柄間の連動性は低く、TOPIXが軟調なときに株価が上昇する傾向にあります。


化粧品

化粧品銘柄は独自の動きをすることが多く、季節の影響を受けやすいです。また、日用品と同じように他のセクターが軟調な時ほど資金が流れる傾向にあります。


TOPIXが下落しているときは、逆に株価が上昇する可能性が高くなります。




公共セクターの動向

電力、ガス、水道、通信、交通関連の銘柄になります。不景気なときでも、一定の利益は確保されている銘柄群でディファンシブ株と呼ばれています。

電力

特に火力発電の場合は、石油価格の影響を受けます。日経平均株価とは連動しない傾向にありますが、電力会社間での連動性はみられます。


ガス

公共セクターにある銘柄の多くはディフェンシブ株になり、日経平均株価と連動しません。ガスもまた同じです。ただし、大手ガス銘柄間では、連動する傾向にあります。


鉄道

JR株は値嵩株なので、日経平均株価への寄与度は高く、電力株と連動する傾向にあります。また、東日本旅客鉄道、西日本旅客鉄道、大手私鉄会社の多くは、不動産業を営んでいるため、不動産銘柄と連動した動きをします。


電話

値嵩株が多く、携帯電話の契約数に影響を受けます。電話会社の銘柄もディフェンシブ株として購入されることが多く、日経平均株価との連動性はみられませんが、大手銘柄間では連動性があります。




小売りとサービスセクターの動向

国内消費の影響をもろに受けるセクターで、消費者物価指数に左右されます。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストア売上高の影響を受け、また大手銘柄間では連動性が見られます。


百貨店と大手スーパー

全国百貨店売上高と国内消費者物価指数の影響を受けます。また、大手百貨店の銘柄間では連動する傾向にあります。


ドラッグストア

大手固有銘柄は独自の動きをすることが多く、日経平均株価と連動した動きはしない傾向にあります。


家電

ドラックストアと同じように、大手の家電も独自の動きをします。消費者物価指数に左右される傾向も強いです。ただし、日経平均株価指数や他の銘柄との連動性は低いです。


サービス

国内の消費者物価指数の影響を受けます。また、中型株や小型株が多いため流動性が高い銘柄が多いです。一言でサービスといっても、セキュリティ、娯楽、レストランなど多種にわたるので、サービス業を全体でみると連動性は低いです。

食品

ビールとタバコの銘柄以外は中型・小型株が多く、ボラティリティが高い銘柄群です。酒税、タバコ税が改定される場合、値動きは大きくなります。また、飲料関係の銘柄間では連動した動きが見られます。



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